映画:マイマイ新子と千年の魔法

アニメ映画「この世界の片隅に」の片渕素直監督の作品。お奨めである。

昭和三十年代くらい? の山口県が舞台。

主人公は小学校の中学年くらいの二人の女の子。空想好きな新子と東京から転校してきた貴伊子。いわゆる、ガールミーツガールの物語。(何となく赤毛のアンを連想していると、なんと似たエピソードがあった)

舞台は麦畑が広がる田舎町。豊かな自然の中で、子供達が生き生きと遊ぶ。畦道に咲く野花が美しい。子供達の周りには音が満ちている。雲雀や鳶の鳥の声。蛙の合唱。お米のポン菓子「ドカン」(私の町では「パクン」だった)を作る破裂音。草笛の音。用水路である川のせせらぎには、ドジョウに何処かから紛れこんだ金魚が泳ぐ。空には天の川が横たわり、夏は蛍が群れ飛ぶ。子供達の日々が自然の中で紡がれていく。

そして、子供達の世界は無邪気なままではなく、どうしようもない大人の事情に幻滅したり悲しんだり憤慨したりもする。

さて題名の「千年の魔法」であるが、山口県は古来から周防の国と呼ばれていた。新子は祖父から千年前に都があったと聞かされ、その都を空想する。その周防の国府に赴任してきた清原元輔の娘、諾子(なぎこ)。京の都からやって来た彼女は友達が居なくて、一人ぼっち。その女の子が友達を見つけるまでの物語がたびたび差し込まれる。(ちなみに、大人になった彼女は凄く有名な人物である。現代であれば人気ブロガー? と言われる随筆家である)

 懐かしい景色、懐かしい音。小学生の上級生から小学校に上がる前の小さな子までひっくるめて遊んでいたあの頃を思い出す。