ドラマ:この世界の片隅に

アニメ映画はDVDで鑑賞済み。

日常の中に戦争があった時代。

広島の海苔農家に産まれた主人公、浦野すず。

絵を描くのがとても好きで、のんびり屋。

とにかく、とても可愛らしい。

演じるのは松本穂香さん。

意識高過ぎ、高杉くんのCMの女の子。

 

家族は両親と妹、そして母の実家に祖母とその家族。お祖母さん役が宮本信子さん。

すずのお父さん役の俳優さん、何処かで観た事があると思ったら、ドロンズの石本さんだった。

そんな彼女が、呉にお嫁に行くことになる。

結婚相手は北條周作さん。演じるのは、松坂桃李さん。

小さな頃に出会っていた二人(映画では最後に判るシーンがあるけれど、ドラマでは早々と二話目で判明…あの話の流れでは、仕方あるまい)であるが、すずは最初、何で自分が結婚相手に選ばれたのかが判らない。

最初は戦争しているのが信じられない程に穏やかな日々が過ぎて行く。

そんな中でも、周作さんのお姉さんが、実に良いキャラクターを発揮する。きつい性格で、すずさんをビシビシ指導する。演じるのは、ピッタリの尾野真千子さん。

そして、周作さんの幼馴染役の幸子さん。朝ドラの「ひよっこ 」の米屋の米子役をしていた伊藤沙莉さん。

雰囲気が「ひよっこ」と似てるな~と思ったら、脚本は「ひよっこ」と同じ岡田惠和さん。そう言えば、主人公の松本穂花さんも「ひよっこ のラジオ工場の同僚だったね!

 

以下、映画の話。観ていない方はネタバレになるので注意。

話が進むにつれて、次第に不穏な気配が漂って来る。

呉は軍港なので、空襲に何度も襲われる。最後の方は空襲警報に馴れてしまって行く…此処がリアルだ。

そして、とうとう戦争はすずの近くにいた命をもぎ取って行った。すずの身体の一部と一緒に。

呉の空襲を避けるため、すずに広島への疎開の話が出る。けれど「呉に居たい」とすずは残ることを選択する。

そして「あの朝」がやって来る。

突然の光。「何か光った?」「雷か?」戸惑うすず達を大きな揺れが襲う。

そして、広島の方向に立ち上がる「かなとこ雲」。

すずの家族が、あの雲の下に居る事を想像させる。そこに地獄が拡がっている事も。

広島の被害がじわじわと人々の間に噂として染み込んで行く。(呉に広島の「回覧板」やら「障子」やらが落ちて来た事を、この映画で初めて知った

そして、終戦

あれ程の被害を出しながら、戦争に負けた。

戦争に勝つことを、信じていたのに。

その絶望と空虚。

すずの広島の家族。あの朝、すずの母親は市内に出かけていて、死んでしまっているのは容易に想像でき、母親を探して父親と妹が市内に足を踏み入れた。父親はそのせいで既に死に(多分、原爆症)原因不明の病の妹にも、死を予感させる痣が腕に浮かんでいる。

街は焼け、沢山の人が死に、食べ物もまともに手に入らない。けれど、すず達は生きていかなくてはいけない。

この映画では、食事のシーンが多く出てくる。すずは足りない食材を補うため、野草を摘み、闇市へ出掛け、嵩増しの工夫を凝らす。そして、家族で食卓を囲む。

それは、戦争が終わってからも連面と続いていく。

周作の母親が、隠し持っていた米を取り出し「明日も明後日も食べていかなくてはいけないから、少しずつ使え」と、すずに渡す。

戦争に負けても街が焼け野原になっても、今日は何を食べようか、明日は何が食べられるか、と考える。

生きることは、食べる事。